会社設立後、最初に必要となると言ってもいいのが銀行口座。近くの銀行の支店などで口座開設をしに行っても銀行口座の開設を断られることがあります。
また、特にコロナ後はオフィス不要と考える事業主の方も増え、実際のオフィスを持たず、バーチャルオフィスを利用する方も増えております。ただでさえ、会社設立したばかりの会社だと口座開設を断られるケースがあるのに、バーチャルオフィスだとさらにハードルが高まってしまいます。
今回、会社設立後に必要となる銀行口座を選ぶときのポイントと、会社設立後でも比較的口座開設しやすい銀行口座を記事にしております。
おすすめの銀行口座のポイント
ネット対応
日常的な振り込みや、入出金、残高確認のために、わざわざ時間をかけて銀行に行くよりも、スマホやPCからネットで行えた方が効率的です。多くの銀行がネットに対応していると思いますが、もし、ネット対応が進んでいない銀行は避けた方がいいです。
オンラインバンク利用手数料がかからない
個人の場合は銀行のオンラインバンクの利用は無料で、利用手数料がかかるという発想自体がないかもしれません。しかし、法人口座の場合は、原則、オンラインバンク利用手数料がかかると思ったほうがいいです。
融資を受けるなどの利用目的がある場合を除き、オンラインバンク利用手数料がかからない銀行口座がおすすめです。
ペイジー対応
事業を行っていない場合はペイジーはあまり利用する機会がないかと思います。
ただ、会社を設立し事業を開始すると、税務申告や源泉徴収額の納税などの際に利用するため、ペイジーに対応している銀行口座は必ず開設したほうがいいです。
税務申告・納税・登記簿取得等を全てネットで完結することが可能ですので、ペイジー対応していると顧問税理士との納付書のやり取りや、銀行に行って支払いをする手間が省けるので確実に効率的です。
デビットカード対応
設立したばかりの法人ですとクレジットカードを作るハードルもあり、最初はデビットカードを使うことをお勧めしております。また、資金管理や経理処理が苦手な方にはデビットカードを使った方がいいケースもあります。
会計ソフトとの連携
税務申告の効率化を考えると、会計ソフトにデータを連携を簡単に行えるか非常に重要な要素となります。
データ連携を自動でできない場合も、銀行口座からCSVファイルをダウンロードして会計ソフトに連携する方法が取れる場合もあります。ですが、データ連携のための手数が増えると、日常的な記帳を行いにくくなりますので、避けた方がいいです。
また、デビットカードでの支払いの際に、”デビット 776199 セブンイレブン” といったように番号だけでなく、セブンイレブンなどの情報も記録される銀行がいいです。
振込手数料が無料
事業を行っていると、請求書の支払いなどで銀行振込がある程度生じるかと思いますので、振込手数料が複数回あると嬉しいです。
ただし、個人の場合は振込手数料が一定の回数が無料のケースがありますが、法人の場合は原則有料で、無料があることが珍しいです。
個人的におすすめな法人の銀行口座
今回は、法人設立後に開設しやすく、かつ、サービス等に特徴がある銀行を選んでおります。
法人を設立しただけで実態も事業計画もない場合、前身となる個人事業主の実績がない場合、個人での取引実績がない場合は、口座開設の審査が通らないケースがあるので注意が必要です。
法人の銀行口座は、設立直後やバーチャルオフィスでは口座開設を断られることが多いという前提でいた方がいいです。大事なのは銀行で口座開設を断られても、ショックを受けて止まってしまうのではなく、次の銀行に口座開設を申請していくこととなります。
口座開設を断られた理由は教えてもらえませんが、書類の不備や法人の実態が確認できないことだったりするかと思いますので、次に申請する際までに改善していけばいいです。
GMOあおぞらネット銀行
法人を設立した直後に、まずおすすめしたいのは、GMOあおぞらネット銀行となります。
GMOあおぞらネット銀行を最初におすすめした理由としては以下の通りとです。
- 新規設立した法人やバーチャルオフィスでも口座開設しやすい
- 口座維持手数料が無料
- ペイジー対応
- デビットカードでの決済時に取引内容をクラウド会計に連携できる
- サービスの改善が続いている
振込手数料は原則有料となりますが、法人で必要なサービスが揃っており、弱点が少ないです。
新規設立した法人やバーチャルオフィスでも口座開設しやすい
新規設立した法人や、バーチャルオフィスを利用する法人に力を入れている印象が強いです。また、口座開設もスピーディーに行えるため、法人設立直後で口座が必要な場合に非常に助かります。
口座維持手数料が無料
法人口座やオンラインバンクの利用で口座維持手数料が必要となるケースが非常に多いのですが、手数料がかかりません。
ペイジー対応
法人の場合、赤字であっても年に一度は必ず納税を行いますし、源泉所得税がある場合には月次での納税が生じます。納税自体は納付書に記載して郵便局や銀行で支払うことができますが、非常に時間がかかります。
オンラインバンクでペイジーに対応しているため、オンラインで簡単に支払うことができます。
デビットカードでの決済時に取引内容をクラウド会計に連携できる
デビットカードを利用した際に、多くのデビットカードではクラウド会計に連携した際に”デビット 776199”といった番号だけが記載され 取引内容がわからないことが多いです。
GMOあおぞらネット銀行では、 ”デビット 776199 セブンイレブン” いったような内容で表示されるため、会計を効率的に行うことがでいます。
サービスの改善が続いている
GMOあおぞらネット銀行はサービスの改善を積極的に行っている印象があり、会計事務所として感じる改善としては大きく以下2点あります。今後もサービスの改善や拡充を期待したくなります。
まず、以前はデビットカードでの決済内容が番号だけで取引内容が分かりませんでした。そのため、GMOあおぞらネット銀行を利用している場合は、経理処理で顧問先に追加資料をお願いすることが多かったです。
それが、ある時から取引内容も連携されるようになりました。
また、以前はペイジーに対応しておりませんでしたが、2023年1月からはペイジーに対応し始めております。
住信SBIネット銀行
住信SBIネット銀行は、以前はバーチャルオフィスが住所の場合は口座を開設できない旨をHPでも明記していたため、バーチャルオフィスで登記をすると口座開設ができませんでした。そのため、口座開設のハードルが高いイメージがあり、設立したばかりの法人など、バーチャルオフィス以外でも口座開設を避ける傾向がありました。
ただし、最近はバーチャルオフィスとも提携しており、口座開設しやすくなっております。また、個人でも使っている方が多く、法人口座も個人と同じの操作感で利用できるため、口座開設を希望する方が増えている印象があります。
住信SBIネット銀行をお勧めするポイントとしては以下の通りとなります。
- 新規設立した法人やバーチャルオフィスでも口座開設しやすい
- 口座維持手数料が無料
- ペイジー対応
- 個人で利用している方も多く、使い慣れた銀行を法人でも利用できる
新規設立した法人やバーチャルオフィスでも口座開設しやすい
新規設立した法人や、バーチャルオフィスを利用する法人に力を入れている印象が強いです。また、口座開設もスピーディーに行えるため、法人設立直後で口座が必要な場合に非常に助かります。
口座維持手数料が無料
法人口座やオンラインバンクの利用で口座維持手数料が必要となるケースが非常に多いのですが、手数料がかかりません。
ペイジー対応
法人の場合、赤字であっても年に一度は必ず納税を行いますし、源泉所得税がある場合には月次での納税が生じます。納税自体は納付書に記載して郵便局や銀行で支払うことができますが、非常に時間がかかります。
オンラインバンクでペイジーに対応しているため、オンラインで簡単に支払うことができます。
会計ソフトとの連携した際には一手間かける必要がある
デビットカードを利用した際に、銀行口座の明細では ”デビット 776199” といったような内容で表示されます。そのため、会計ソフトに情報連係した際に、自分で更新を行う必要があります。
みずほ銀行
新規に設立した法人や、バーチャルオフィスを利用する場合は、メガバンクでの口座開設は非常に難しかったです。
特にコロナ後からはテレワークが浸透し、オフィスを持たないことに対するイメージも大きく変わってきたかと思います。そのためか、みずほ銀行ではバーチャルオフィスを利用するような小規模法人での口座開設について、DMMバーチャルオフィスとの対談でバーチャルオフィスであることを理由に法人法人口座開設を断ることがない旨コメントしております。
ただし、審査の結果、口座開設に至った場合でも、登記事項証明書に記載の本店住所宛に、転送不要の簡易書留郵便が送付されます(郵送の際、登記住所に記載がないビル名や部屋番号の追記できません)。
そのため、登記する際に住所をビル名や部屋番号まで記載するか、登記する際には住所にビル名等を記載しない場合は郵送物を事前に送って届くか確認したほうがいいです。
——バーチャルオフィスでも法人口座を開設できますか?
https://virtualoffice.dmm.com/column/521
小林:はい、開設できます。法人登記する場所としての条件を満たしていれば、バーチャルオフィスであることを理由に法人口座開設をお断りすることはありません。
大井:むしろ私たちみずほ銀行は、バーチャルオフィスを利用されるような小規模法人のお客さまの口座開設に積極的です。最近ではスタートアップ庁創設の話も出ており、日本のスタートップを10万社まで引き上げることが提言されています。そういった機運のなか、一人あるいは少人数で起業しバーチャルオフィスを利用するというお客さまも増えていくでしょう。金融機関の社会的な使命としても、私たちみずほ銀行はこういった企業の成長を支援していきたいという思いを持っています。
みずほ銀行をお勧めするポイントとしては以下の通りとなります。
- メガバンクへの口座開設による社会的信頼性の獲得
- メガバンクの中でバーチャルオフィスへの対応を明確にしており口座開設申請時の不安が軽減される
特に、メガバンクを利用していることによる信頼性をアピールしたい場合、みずほ銀行で開設したくなります。
ただし、インターネットバンキング(みずほビジネスWEB)は利用手数料が月に3,300円(税込)かかります。また、ペイジーを利用するためにはみずほe-ビジネスサイトの申込が別途必要となる点は注意が必要です。
最初に1つ口座を開設するならGMOあおぞらネット銀行か住信SBIネット銀行がおすすめ
GMOあおぞらネット銀行と住信SBIネット銀行のいずれかを最初の法人口座として開設することをお勧めしております。両方ともペイジーに対応しており、使い勝手もよく、運用コストも低いためとなります。
法人の場合は、ペイジーを利用する機会が増えますので、オンラインバンクでのペイジー対応が重要と感じます。そのため、最初の銀行口座として開設するのは、機能面のバランスと口座開設のしやすさから、個人が法人を設立する際には、GMOあおぞらネット銀行に口座を開くことがスタンダードになりつつあります。
住信SBIネット銀行はGMOあおぞらネット銀行よりも開設のしやすさという点では下がる気がしますが、こちらもお薦めです。
また、事業拡大を視野に入れており信用力があると見せたい場合、コストが多少かかっても、最初からみずほ銀行を利用するのもありだと思います。
法人の銀行口座は複数保有しておく
法人の銀行口座ですが、将来的には少なくても2つの銀行口座を保有するのをお勧めしております。
1つにまとめてもいいのですが、入出金がほとんどないなど、何かしらの理由で銀行口座が取引停止になった場合、資金の送金や受け取りができなくなってしまうため、事業活動に支障をきたす可能性があります。
また、取引先からすると、銀行口座があったのに無くなったり、代わりの口座がない会社は、信頼して取引をしていいのか疑ってしまう可能もございます。
パターン
会社設立後、最初は1つの口座開設を目標に動きつつ、2つは銀行口座開設も考えておいたほうがいいです。以下、上記で記載したおすすめの銀行での強みをベースに銀行口座の活用パターンを記載しております。
パターン | 銀行1 | 銀行2 | コメント |
---|---|---|---|
1 | GMO or 住信SBI | 住信SBI or GMO | 借入の予定もなく、ネット銀行のみでいい場合は、GMOと住信SBIネット銀行のみで問題ないです |
2 | GMO or 住信SBI | メガバンク | GMOで振込やペイジーを使い、取引先からの資金の受け取りは信用力が高いメガバンク(三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行)とする |
3 | GMO or 住信SBI | 地銀・信金 | 借入を前提としている場合、地銀や信金での取引をメインとし、振込手数料を抑えるためにGMOや住信SBIを使うのでいいかと思います |
借入のニーズがある場合は、地銀や信金との関係を持っていくことが多いためパート3がお勧めです。
仮に借入が必要な場合は、パターン2のメガバンクを利用するメリットはないかと思います(規模が大きい場合は)。
また、今回おすすめの銀行としては記載しておりませんが、PayPay銀行も、GMOあおぞらネット銀行と住信SBIネット銀行の代わりになるかと思います。ただし、PayPay銀行は法人口座の開設を簡単にできそうなイメージですが、実際には口座開設に至らないケースがあるため、除外しております。
メガバンクでの口座開設について
個人の場合、銀行口座の開設を断られることがほとんどないのですが、法人の場合は、普通に口座開設を断られます。
メガバンク(三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行)はいずれも創業したばかりでであったり、バーチャルオフィスでも口座開設は可能のようですが、口座開設のハードルは高めとなります。
設立したばかりで実態のない法人の口座開設は難しいため、法人での実績をある程度積み上げ、HPを作成してからの申し込みをお勧めしております。
ディスクレーマー(責任に関する注意事項)
当サイトではコンテンツの正確性を高めるよう努めておりますが、ルールの改定等のアップデートが未了の場合もございます。当事務所が記載している情報の利用により損害が発生することがあっても、当事務所は一切責任を負いかねます。