【カナダ】教育事情と教育目的の移住

「子どもに英語を学ばせたい」、「将来は海外で活躍してほしい」などの理由から、子どもに海外で教育を受けさせようとする家庭が増えています。

その中でも、移住先としてカナダを選ぶ人が多いのはご存じでしょうか?

暮らしやすさ、教育水準の高さで知られているカナダは、子どもを持つ親世代からとても人気です。

今回は、教育目的の移住先にカナダを選ぶ理由と、カナダの教育システムについてご紹介します。

目次

教育のためにカナダを選ぶ理由とは?

なぜ、子どもの教育を目的とした移住先にカナダを選ぶ人が多いのでしょうか?
ここでは、その理由を探っていきます。

①英語圏である

海外留学・移住の目的にまず挙がるのが、子どもに英語を習得させることでしょう。

英語が話せれば、子どもの進路の選択肢も広がります。英語圏の国は多数ありますが、カナダの英語は比較的クセがなく、日本人にとって聞き取りやすいと言われているため、好まれるようです。

②世界トップレベルの留学システム

世界トップレベルの教育システムを誇るカナダ。『US News & World 』により発表された2022年の教育システムランキングでは、アメリカ、イギリス、ドイツに続き第4位となっています。

参照:世界教育システムランキング 2022年版 (US News & World)

カナダ国内に100校ほどある大学のうちほとんどが公立(州立)のため、大学間のレベルの差があまりないのもポイントです。カナダの大学教育や教師陣の質の高さは、世界からも高く評価されています。

また、移民大国であるカナダは、留学生の受け入れにとても積極的な点も見逃せません。

各学校では、ESL(English as a Second Language)という第二外国語としての英語のカリキュラムを設けており、英語が全く話せない子どもがカナダで生活していけるよう、言語面をバックアップしてくれます。

英語が話せないお子様が、授業についていけずに閉じこもる……などという心配をしなくてもいいので、精神面においても大きな支えになってくれるでしょう。

③受験戦争がなく、のびのびとできる

カナダでは、どの大学を出たかは重要視されません。その代わり、個性や才能を伸ばすこと、自分を活かした仕事に就くことが一番大切だと考えられています。

高校受験や大学入試などはないため、日本のように受験戦争で子どもがつぶれてしまうということもありません。

スポーツ、アート、ビジネス、心理学など、自分の興味のある分野を積極的に学び、得意分野をどんどん伸ばしていくのがカナダ流です。

子どもにはのびのびとした環境で育ってほしいという意向があるのなら、移住先にカナダはうってつけではないでしょうか?

④治安が良く、差別も少ない

カナダは、先進国の中でも比較的治安の良い国だと言われています。

また、世界各国からの移民を受け入れてきた歴史を持つため、お互いを尊重し合う風土が古くから根付いているのも特徴。そのため、カナダの人々は異なる文化や人種・民族に大変寛容です。人種差別も少なく、アジア人である私たちも浮くことはありません。

海外で子どもを育てるのなら、まずはこのように安心して生活できる環境を整えたいものです。

※犯罪や差別がゼロというわけではありません。

⑤子どもの学生ビザがあれば、親の帯同が可

6か月以上の長期でカナダに滞在する場合は、通常、学生ビザや就労ビザを取得しなければなりません。しかし、子どもが6歳以上であり、学生ビザが発行されていれば、親は子どものビザの期間と同じ期間だけカナダに滞在することができます。

海外で生活してみたい、リモートで仕事をしたいなど、自身も移住目的がある親御さんからしてみれば、この制度はとても魅力的に映るのではないでしょうか?同じ北米でもアメリカにはこのようなシステムがないことから、カナダを選ぶという方も多いようです。

⑥親の学生ビザで子どもの学費無料

⑤とは逆に、親の学生ビザに子どもを帯同させるという方法です。

この場合の最大のメリットは、親が公立のカレッジに入学すれば、その期間子どもの学費(公立校)が無料になる点でしょう。さらに、子どもは何人であっても無料になるというので有難いですね。

ただし、親の学校はどこでも良いというわけではなく、ディプロマやディグリーを取得できる公立校に1年以上通わなければならないなどのルールがあります。ルールは州によっても異なるので、下調べをした上で検討するようにしましょう。

カナダの教育制度

カナダは、海外でお子様の教育をするにあたってのハードルが低く、安心できる国だということがわかりました。

①日本との比較

日本では教育制度は全国一律が当たり前ですが、カナダでは州によって学習内容や教育課程、義務教育期間などが大きく異なるのが特徴です。

【州ごとのカナダの教育制度一覧】

参照:カナダの教育 Wikipediaより

【幼稚園】

対象年齢は基本的に5、6歳です。多くの幼稚園が小学校に併設されており、期間が1年間のみというところに日本との違いが見られます。

また、幼稚園が義務教育にあたる州もあります。

小学校・中学校・高校】

日本と大きく異なるのは、学年の数え方です。

日本の「〇年生」に相当する言葉は「グレード」と呼ばれ、グレード1~12までが存在します。

そして、日本のように「小学2年生」「中学1年生」と、小、中、高ごとに分けるのではなく、1年生~12年生までを通しで言うことが多いようです。

例えば、小2はグレード2、中1はグレード7となります。

また、州によっては小学校の呼び方もエレメンタリー(Elementary)、あるいはプライマリー(Primary)のように異なり、小・中・高の区切りにも違いが見られます。

移住したい州がある場合は、その州の制度に加え、自分の子どもがどのグレードに当てはまるのかを確認しておくと良いでしょう。

ちなみに、カナダの義務教育は5、6歳~15、16歳までで、公立学校の義務教育は無償です。

②英語とフランス語

英語とフランス語の2か国語が公用語であるカナダ。国民の約70%が英語を第一言語としている一方、ケベック州を中心に、フランス語を第一言語とする人々もいます。

そのため、カナダの学校では「2言語プログラム」というものがあり、義務教育期間中に第二言語を習得できるよう、バイリンガル教育に力を入れています。

③ボランティア

カナダの一部の州では、ボランティアやチャリティーといった、地域に貢献する活動を授業のカリキュラムに取り入れています。

例えば、オンタリオ州では、グレード9~12の4年間で40時間以上のボランティア活動に参加することが義務付けられています。

カナダの人々は社会貢献の意識が高いと言われていますが、学校教育を通じて社会貢献の大切さを学んでいることが、その背景となっているのでしょう。

④家庭学習

さまざまな事情から学校に通うことのできない子どもたちのために、家庭で義務教育を行うことが認められているのも、カナダの教育システムの特徴です。

基本的に親が教えることが多いですが、在宅教育に関するオンラインサービスを提供している会社も数多く存在します。

一人ひとりの子どもに合わせた教育方法が取れるのも、個性を尊重するカナダならではの取り組みと言えるでしょう。

⑤ユニバーシティ -University-

日本の4年制大学と同様、カナダで大学というと4年制大学を指します。ほとんどの大学が公立(州立)であり、大学ごとのレベルに大差はなく、総じて教育水準が高いのが特徴です。

学校によって、学士号(Bachelor’s degree)、修士号(Master degree)、博士号(PhD/Doctorate degree)を取得できます。

日本のような入学試験はない代わりに、高校3年間の成績や課外活動などへの取り組み方で合否が決まります。

⑥カレッジ -College-

アカデミックで、学問を学ぶ場である大学(ユニバーシティ)に対し、カレッジでは就職に役立つ専門的なスキルを身につけることができます。日本の短期大学や専門学校に近いと考えればいいでしょう。

期間は2~3年で、大学同様ほとんどのカレッジが州立です。

カレッジには、就職のための専門スキルを身につける職業訓練コースだけでなく、4年制大学への編入を目的としたコースもあります。

大学と比較して学費が安いため、費用を抑えるためにカレッジで1、2年次を学んでから大学の2、3年次へ編入するという方法を取る学生も多いようです。

編入制度はカレッジによって異なるため、しっかりと調査を行うことをお勧めします。

まとめ

子どもの教育をカナダで行うメリット、カナダの教育制度の特徴を取り上げました。

義務教育機関やカリキュラム内容、受験の有無など、日本とカナダの教育システムには数多くの違いが見られたことでしょう。

カナダに移住される方の多くは、出る杭が打たれることなく個性が尊重される点、子どもをのびのびと育てられる点に、家族でカナダ移住をして良かったと感じておられるようです。

しかし、日本とカナダのどちらかが絶対に良い・悪いということはありません。

ご自身がどこでどのように暮らしたいのか、また、お子様にどのように育っていってほしいのかをじっくり問い、移住の判断をされることが大切です。

そのためには、日々積極的に情報収集し、少しでも多くの知識を身につけていかれることをお勧めします。

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