【カナダ】移住のメリット・デメリット

海外移住を成功させるには、事前にどれだけ情報収集ができるかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。

カナダは、海外移住先として人気のある国の一つです。個人的には、全体的なバランスの点で、資産形成が完了して海外移住を行う方の最終到達地と考えております。今回は、カナダへの移住を検討している方向けに、カナダで暮らすメリットとデメリットをご紹介します。

目次

移民大国カナダ

カナダは、伝統的に移民を受け入れている国の一つです。1980年代後半から年間20万人もの移民を受け入れ続けており、これはアメリカと比較して、均等割りで約3倍にあたると言われています。

国民の20%、つまり5人に1人が移民であることからも、いかに移民増加政策に積極的であるかがわかるでしょう。

さらに、2020年にはIRCC(カナダ移民省)により、「2021〜2023年にかけて120万人以上の移民を受け入れる」計画が発表されました。

カナダが移民を受け入れる背景には、日本と同様、少子高齢化が問題となっていることがあげられます。働き手を増やすために、海外から人手を募っているのです。

そんな中、新型コロナウイルスの広がりにより、世界的に渡航が規制された昨今、想定していた移民数が得られませんでした。移民増加計画が立ち上がったのは、この期間の移民不足を補うためでもあります。

今後も移民の受け入れに寛容であるカナダ。

カナダに移住するには、今がまさに最適なタイミングだと言えるでしょう。

カナダ移住のメリット

兵役がない

移住する国に兵役の義務があるかどうかは、子供を連れての移住の場合は第一に知っておきたい情報です。せっかく移住して、大切な家族の時間を徴兵期間に費やしたくはないはずです。兵役の有無により、移住地の選択肢は大きく変わります。

特に、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻により、戦争リスクは気を付けておくべき項目の一つとなります。

その点、カナダには兵役の義務はありません。そのため、安心して渡航できます。

移住者が受けられるサービスが手厚い

移民大国カナダでは、さまざまなバックグラウンドを持つ移住者がカナダの生活を安心して送れるよう、手厚いサービスを取り入れています。

例えば、無料の語学学校がその一例です。
カナダ政府が運営するLINC(Language Instruction for Newcomers to Canada)というプログラムでは、永住権保持者であれば、公用語の英語やフランス語の授業が無料で受けられます。

さらにLINCを受ければ、カナダ生活で知っておいた方がいい教育やお金に関する授業、無料のデイケアやプリスクール(ない学校もあります)など、役立つサービスも同時に利用できるのがポイントです。

見知らぬ土地での生活の不安も、このようなサポート体制があれば軽減できるでしょう。

医療費が無料

カナダの医療費は全て税金で賄われており、基本的に無料です。

カナダは日本同様、国民皆保険制度を採用していますが、医療費負担や月々の国民健康保険料の支払い義務がない点が日本と異なります。

ただし、歯科・眼科・薬代に関しては自己負担なので、注意が必要です。特に歯科治療については

高校までは学費が無料

お子様のいる家庭にとっての最大のメリットは、高校までの学費が無料であることでしょう。

州にもよりますが、カナダの義務教育期間は一般的に6、7歳~16歳までと長く、この期間の公立学校の学費は無料です。
また、大学の学費も$2,000~$8000ほどと、日本と比較するとかなり抑えられます。補助金や奨学金も出るため、安心して子どもに教育を受けさせられることが魅力の一つです。 

カナダ移住のデメリット

どれだけ魅力的な国にも、欠点はつきもの。メリット以上に、その国のデメリットを知っておくことは大切です。移住してから後悔しないよう、カナダ移住のデメリットを4点見ていきましょう。

夏の山火事によるスモッグ、洪水などの被害

毎年地震や台風被害が多発する日本と比べ、カナダは自然災害とは無縁のイメージを抱く人も多いでしょう。しかし、そんなカナダにも、山火事や洪水などの災害は存在します。

特に太平洋に面したブリティッシュ・コロンビア州(BC州)では、毎年夏の終わりに発生する山火事により、大気汚染の影響が数日~数週間続くことが普通です。

カラッと晴れた晴天でも、空は靄がかかったように覆われ、煙の臭いも漂っているため、外出を控えるようにとの通達が出ます。山火事周辺の住民には避難勧告が出されることも。

さらに、この時期には洪水被害も多く見られます。

2021年にBC州で発生した記録的な豪雨は、大規模な洪水や土砂災害をもたらし、非常事態宣言が出されました。物流が停止し、世界中に影響を与えたのは記憶に新しく、覚えている方も多いのではないでしょうか。

また、カナダ中部や東部では寒波に襲われることも多く、毎年冬は極寒に立ち向かう忍耐が必要です。この地域の冬の平均最高気温は-5℃程度、最低気温は-20℃程度ですが、ひどい時には-50℃近くにまで下がります。

スーパー、銀行、学校、さらには空港までが閉鎖せざるを得なくなり、命の危険であるため外出はできません。

このように、冬の寒さはもちろんのこと、カナダにはスモッグや洪水などの被害もあるということを覚えておきましょう。

気軽に病院へ行けない

医療費が無料であることは、メリットであると同時に、デメリットも持ち合わせています。

カナダでは、病院に行きにくいことが難点です。

日本では、風邪の場合は内科へ、肌のトラブルの場合は皮膚科へと、症状に応じて専門医に診てもらうことが当たり前ですが、カナダでは最初から専門医にかかることができません。

つまり、病院(hospital)で初診外来は受け付けていないのです。

そもそも、「病院」の定義が異なり、カナダでは「病院に行く」というと、基本的に「hospital」ではなく、「clinic(かかりつけ医)に行くこと」を指します。clinicでまずファミリードクター、または、ファミリードクターがいない場合は「ウォークインクリニック」と呼ばれる一般外来で診てもらい、必要があれば病院や専門医が紹介されるという流れが一般的です。

すぐに診てもらいたくても、専門医に会えるのが数か月先ということは当たり前。また、ウォークインクリニックの待ち時間も、場合によりますが5、6時間かかることもあり、日本人からするとあり得ないことです。すぐに診てもらえない状況に、じれったさと不安が付きまとうでしょう。

このように、医療へのアクセスの悪さは、カナダで生活する上での最大の心配事だと言っても過言ではありません。保険料を3割負担してでも、いざという時にすぐ対応してもらえる日本の方が安心だという声が多いのは事実です。

家族や友達に会えない

海外生活をしている人にとっての永遠の悩みは、会いたい人にすぐに会いにいけないことでしょう。

特にカナダは、周知のとおり地理的にも日本から遠いため、頻繁に行き来できません。人にもよりますが、年に1回帰れるかどうかが限度ではないでしょうか。

定期的に帰国したいという希望があるのなら、アジア圏への移住が無難です。

また、時差によりコミュニケーションの取れる時間帯が限られるという難点もあります。

日本との時差は、最小のカナダ東部では-11時間30分、最大の西部では-16時間(冬季は+1時間)です。自分が連絡したいタイミングで連絡ができない状況を、ストレスに感じる人も多いでしょう。

カナダに住んでいると、このように距離感の不便さがネックとなります。連絡が取りづらいことや、身内に何かあった時にすぐに駆けつけられないリスクも踏まえて、移住を検討しましょう。

物価が高い

日本より物価が高いことも、カナダに移住するデメリットの一つです。

特にここ数年においての物価の上昇率は異常で、食料品、家賃、航空券、ホテル代、外食代は顕著な値上がりを見せました。

統計局が発表した2022年7月の物価指数を見ると、食料品の場合、卵15.8%(6月7.9%)、コーヒー・紅茶13.8%(同11.3%)、ベーカリー製品13.6%(同10.0%)、フルーツ11.7%(同10.2%)となっており、6月よりも大幅に値上げされたことがわかります。

参照:2022年7月の物価指数 8月16日発表(英語)

そして、外食費は日本と比較すると確実に高いです。

まず、ランチでも$10は当たり前で、日本のように$5以下で食べられる所はほぼありません。ディナーに至っては、1品あたり安くて$10程度が相場です。

その上、消費税やチップ代で合計30%ほど上乗せされるので、カジュアルなレストランでも、2人分で10,000円を越えることは珍しくありません。慣れないうちは支払い時に驚くことになります。

物価の上昇が叫ばれる中で、最も深刻なのが住宅です。新築、中古にかかわらず、カナダの住宅価格は年々上昇し、2021年には過去最高を記録しました。それにもかかわらず、需要に対して住宅の数が不足していることから、「売り手市場」が続いており、部屋がなかなか空いていない、またはまたは売り出された物件が直ちに購入される、という異例の状況となっています。

参照:住宅建築価格高騰 トロントとバンクーバーが世界トップ10入り(英語)

具体的な家賃の金額を見てみましょう。

カナダの不動産サイトRentals.caによる、2022年4月の1ベッドルームの家賃平均は以下のようになっています。

第1位:バンクーバー 家賃平均$2,334

第2位:トロント 家賃平均$2,065

参照:バンクーバー新報

1部屋(キッチン・バスルーム付き)だけの金額が月20万円前後というのは、驚愕の価格です。バンクーバーやトロント以外の都市では価格は下がりますが、日本の感覚で家を探していても、なかなか希望の物件、部屋には出会えないでしょう。

まとめ

カナダに移住するメリットとデメリットをご紹介しました。

私たち日本人は、「海外移住」と聞くと、毎日がキラキラしたイメージを抱きがちですが、実際はそうでもありません。海外で生活するということは、慣れ親しんだ日本の文化や環境、概念を一旦捨て去る必要があるということ。どんなに人望やキャリアのある人でも、他国に来れば生まれたての赤ん坊と同じです。自分の思うような暮らしができず、こんなはずじゃなかったという感情を抱くこともあります。

どこの国を選ぶにせよ、移住するにはそれなりの覚悟と思い切り、情報力が必要だということを念頭に置いておきましょう。

雄大な自然に囲まれ、ワークライフバランスの取れた生活ができるカナダは、非常に住みやすい国です。充実した移住生活を送るためにも、ぜひこの記事を参考に、情報収集を進めることをお勧めします。

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