カナダ移住を考えるにあたって、避けては通れない問題が「英語」です。
「どれくらい話せたら移住できるんだろう」
「英語があまりできないけれど移住したい」
など、さまざまな考えの方がいらっしゃるでしょう。
結論から言ってしまえば、英語が話せなくてもカナダで生活することはできます。
しかし、英語はできないよりもできた方が良いことは事実です。
カナダで働く、事業を始める、といった場合、英語ができれば現地の人との信頼関係が築け、仕事もスムーズに進みます。逆に言えば、うまく意思疎通ができないことは、仕事の質を落としかねません。
また、子どもを学校に通わせる際や、家族の急病の際など、円滑なコミュニケーションができれば生活面でも楽になるのは明らかでしょう。
さらに、永住権申請時には英語力の証明が必要です。
今回は、カナダ移住にどの程度の英語力があればいいのか、また、その証明方法についても解説します。
英語力の証明に使われるテスト
英語力を証明するテストといえば、日本では「TOEIC」と「英検」が一般的です。
しかし、カナダをはじめ海外では、「英検」はもちろんのこと、「TOEIC」においても、その存在すらほとんど知られていません。よって、たとえこれらのテストで好成績を収めていたとしても、証明としては使えないことを知っておきましょう。
英語力証明方法① IELTS
世界的に有名な英語のテストが、IELTSです。
英語圏の大学進学時に採用されることが多く、カナダの永住権申請時の英語力証明としても使えます。
IELTSには「アカデミック・モジュール」と「ジェネラル・トレーニング・モジュール」の2種類があるので、テストの利用目的によって使い分けましょう。
「アカデミック・モジュール」は、海外の大学や大学院への入学時に、「ジェネラル・トレーニング・モジュール」は、英語圏での移民や永住権の申請時に必要です。
「アカデミック・モジュール」は永住権申請に使えないので、出願時には注意しましょう。
世界のどの国で受けたものでも使用可能ですが、有効期限は2年間と定められています。
英語力証明方法② CELPIP
IELTSは聞いたことがあっても、CELPIPは知らない、という人は多いでしょう。
それもそのはず、CELPIPはカナダオリジナルの英語試験だからです。
IELTSなどの英語試験と同様、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4技能がテストされます。コンピューターベースの試験で、筆記や対面での会話がないという点から、IELTSではなくCELPIPを好む人も多いようです。
永住権申請用の「CELPIP General test」、カナダの市民権申請用の「CELPIP General LS test」の2種類があるので、永住権取得を考えている方は前者の「CELPIP General test」を受けましょう。
比較表
IELTSやCELPIPの各スコアをTOEICや英検に換算すると、次のようになります。
IELTS | CELPIP | TOEIC | 英検 | レベルの目安 |
9.0 | 12 | |||
8.5 | 英語圏の大学に入学できる | |||
8.0 | 11 | |||
7.5 | 10 | 970~990 | ||
7.0 | 9 | 860~970 | 1級 | ネイティブレベル |
6.5 | 8 | 820~860 | ||
6.0 | 7 | 730~820 | 準1級 | ビジネスで使えるレベル |
5.5 | 6 | 600~730 | ||
5.0 | 5 | 550~600 | 2級 | 大卒者が履歴書に書けるレベル |
4.5 | 500~550 | |||
4.0 | 4 | 450~490 | 準2級 | 高校2年生レベル |
3.5 | 300~440 | |||
3.0 | 3 | 291~299 | 3級 | 中学卒業レベル |
2.5 | 270~290 | |||
2.0 | 2 | 260~269 | 4級 | |
1.5 | 1 | 100~259 | 5級 |
自分のTOEIC、英検のスコアがIELTSやCELPIPではどの程度なのか、また、英語試験のスコアがない方は、カナダへ行くまでに英語力をどれぐらいのレベルにしたいのかを確認してみると良いでしょう。
カナダ移住に必要な英語力を知る
カナダ移住にはIELTSやCELPIPが必要だということはわかりました。
この項では、どれくらいのスコアを目指せばいいのかを、永住権のシステムと共に見ていきましょう。
永住権はポイントシステム
カナダの永住権はポイント制となっており、年齢、学歴、職歴など、項目ごとにスコア化され、その合計点が基準値を超えている必要があります。
この項目の中には英語力も含まれており、IELTSやCELPIPのスコアが高いほどもらえるポイントも高くなるという仕組みです。
CLBとは?
カナダの永住権を考えている方は、「CLB」という単語を覚えておきましょう。
CLBとは、「Canadian Language Benchmark」の略で、カナダ独自の英語力測定スコアを指します。要するに、「英語力」の項目で自分がもらえるポイントです。
永住権申請時には、IELTSやCELPIPのスコアをそのまま提出するのではなく、CLBスコアに換算します。
IELTSとCLB、CELPIPとCLBの等価表は次のとおりです。
参照:Language test equivalency charts(カナダ政府公式ウェブサイト)
カナダ移住の鍵は英語力
前述の通り、カナダの永住権はポイント制で、基準値以上のポイントがあれば取得できることが多いです。
ポイントの稼ぎどころは「学歴」、「職歴」、「英語力」ですが、新たに大学へ通ったり、一つの職場で一定期間の就業歴を作ったりしなければならない「学歴」や「職歴」よりは、「英語力」を伸ばす方が効率的です。そのため、カナダへ旅立つまでにできるだけ英語力を磨いておくと後で有利になります。
カナダ移住に必要なCLBスコア
では、実際カナダ移住にはどれくらいのCLBスコアが必要なのでしょうか?
これはその人や申請する州によっても異なりますが、ここではブリティッシュ・コロンビア州の永住権申請プログラムを例に、必要な英語力を見ていきましょう。
熟練労働者プログラム(Federal Skilled Worker Program)
専門職やスーパーバイザーとして働いている人向けのプログラムです。
Federal Skilled Worker Programで永住権の申請を行う場合、CLBスコアは7以上が必須条件となります。
CLB7が日本人にとってどれくらいなのかと言うと、日常会話が成り立ち、まず問題ないという人が毎日勉強して届くレベルです。
英語が全く話せない人が1~2年ほど真剣に勉強して届くかどうか、といったところでしょう。
英語圏の大学や大学院に入学できるレベルでもあるので、英語圏の大学・大学院の卒業経験がある人にとってはそれほど難しくはないでしょう。
カナダ経験クラス(Canadian Experience Class)
カナダの専門職または管理職での就労経験を1年以上積むと申請できるカテゴリーです。
Canadian Experience Classの場合は、職種のスキルレベルによって必要とされるCLBスコアが変わります。
スキルレベルの高い職種ではCLB7、低い職種ではCLB5が必要です。
※上記のプログラムはごく一例です。カナダ永住権申請プログラムにはかなりの種類があり、求められる英語力もそのプログラムによって異なります。自分の目指すプログラムの要綱をご自身でご確認ください。
まとめ ~早めの準備を~
カナダ移住に必要な英語力について解説しました。
永住権の取得に必要な英語力(CLB)は人それぞれなので、どのプログラムでいつ頃申請するかを考え、計画的に英語力をつけていくことが大切です。
また、カナダに移住すれば、英語との付き合いはますます強くなります。勉強に終わりはありません。快適なカナダ生活を送るためには、英語は話せれば話せるほどいいのです。
日本にいるうちから英語について意識し、早めの準備をしていきましょう。
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