金投資の税務~気を付けたい譲渡益の確定申告

有事の金と昔から言われてきましたが、特に戦争リスクが高まると安全資産である金の価格が上昇する傾向がありました。

ウクライナ危機などにより、金の価格が上昇しており、売却を検討している話を聞くことが増えてきました。そのため、今回は金の売却を行い譲渡損益が生じた場合の損益について記事にしております。

目次

金投資とは

ETFや先物などではなく、金貨、金の延べ棒などの現物の金への投資となります。

純金積立の場合、自分の金が会社で個別に管理されておらず、全体の一部となっているケースもあります。

国によっては金の装飾品として資産を保全していたりします。

金投資のメリット

資産保全の手段

有事の金といわれるように、戦争や事変など非常の事態が起こった場合、安全資産に資産を逃がすための手段にすることができます。

世界で価値が共通

昔は金本位制が採用されており、金を通貨の価値基準とされておりました。各国の中央銀行が発行した紙幣と同額の金を保有し、いつでも相互に交換することを保証されておりました。

現在は自国の経済に見合った貨幣を発行する管理通貨制度が各国で採用されておりますが、今でも金の取引が行われており、世界で共通の価値があります。

参照:野村証券HP

金投資のデメリット

税務手続きが煩雑

証券会社の特別口座のように、申告不要とはならず、確定申告を行うことになるケースがあります。

給与所得と退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超えると確定申告を行う必要がありますので、金の売却益が20万円を超える場合は確定申告が必要となると考えた方がいいです。

所得が高い場合は高い税率となる可能性がある

現物の金投資は、源泉分離課税とならない場合、所得が高い方ですと高い税率での納税となります。

配当や金利といったキャッシュフローを生まない

金をどのように保管しているかによっても違いがあるかと思いますが、金は配当や金利を生むことが無く、預けていれば保管コストを支払うことがあります。

金投資の税務処理~所得税

金(現物)の売却により譲渡益が生じた場合は、総合課税(短期・長期)雑所得事業所得源泉分離課税のいずれかになるかと思います。

多くの方は総合課税(短期・長期)になりますが、営利を目的として継続的に金地金の売買をしている場合は状況により雑所得又は事業所得となります。年に1,2度程度の売買は継続的な金地金の売買とはみなされない可能性が高いです。

金投資口座や金貯蓄口座などからの利益は金地金の現物の譲渡とは異なり、実態は金融取引に近いことから、金融類似商品の収益として一律20.315パーセント(所得税および復興所得税15.315パーセント、地方税5パーセント)の税率による源泉分離課税となります。

総合課税(短期・長期)

保有期間が5年以内(短期譲渡所得)か5年超(長期譲渡所得)で計算が分かれます。

短期譲渡所得=売却価額-(取得価額+譲渡費用)-特別控除50万円*1

長期譲渡所得=(売却価額-(取得価額+譲渡費用)-特別控除50万円*1)×1/2

*1 特別控除は先に短期譲渡所得から控除し、短期譲渡所得から控除しきれなかった金額を長期譲渡所得から控除します。

雑所得

営利を目的として継続的に金地金を売買している場合で、事業として売買していない場合は雑所得となります。

雑所得=総収入金額-必要経費

事業所得

事業として金の売買をしている場合には事業所得に該当します。

事業所得=総収入金額-必要経費-青色申告特別控除 最大65万円*2

*2 青色申告承認申請書を税務署に提出している場合は、青色申告特別控除として10~65万円を控除することができます。

源泉分離課税

金投資口座や金貯蓄口座での利益については、金融類似商品の収益として、特別口座での源泉徴収のように20.315%の源泉分離課税で完結します。

「金投資口座」や「金貯蓄口座」は、あまり聞いたことがないかと思いますが、金融機関から売り戻し条件付で金を購入するものです。

金地金は純金積立などでドルコスト平均法で投資をすることが多いですが、「純金積立」は「金投資口座」や「金貯蓄口座」とは異なる商品です。

金投資の税務処理~消費税

金地金の売買を国内で行う場合には、消費税10%が課されます。

消費税法上の免税事業者で益税を得ていた方で金地金の売買をする場合は、課税事業者の判定について注意が必要となります。

支払調書の税務署への提出

金やプラチナについて、1回の売却により200万円を超える譲渡代金を受け取った場合は、支払調書が取扱業者から税務署へ提出されます。

支払調書には誰が売却したかも記載がありますので、確定申告を行わない場合は注意が必要です。

参考

三菱マテリアル コラム

国税庁 タックスアンサー

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