海外資産を持つことのメリットとリスク

日本人で米国や香港などを中心に、海外資産を保有する方が増えております。海外資産を保有することはメリットも多く、当事務所でも積極的にサポートをしております。

今回は日本ではなく海外資産を保有するメリットとリスクについて記事にしております。

目次

海外資産を保有する動き

日本は、金利が長期間にわたり超低金利を続けており、また株価については長期的に上昇しておらず、投資対象国として魅力があるとはいえない状況です。税率は高く少子高齢化に伴う老後の不安が高まっています。

日本が投資対象国としての魅力が低いことは昔から言われておりましたが、その間に海外では経済成長を続け、税率が低く投資家を積極的に誘致している国もあります。

日本に希望を持つことができないのであれば、海外を積極的に活用すればよく、近年の経済的に自立して、アーリーリタイアを目指す活動(FIRE)の活発化も相まり、日本から米国や香港やシンガポールへの資産を移す動きが見られております。

海外資産を保有するメリット

海外の成長の取り込み

2018年〜2023年の実績及び見通しを見ると、日本の経済成長率は、世界全体と比べても、先進国と比べても低い傾向があります。

201820192020e2021f2022f2023f
世界3.22.5-3.55.64.33.1
 先進国2.31.6-4.75.44.02.2
  米国3.02.2-3.56.84.22.3
  ユーロ圏1.91.3-6.64.24.42.4
  日本0.60.0-4.72.92.61.0
 新興国・途上国4.63.8-1.76.04.74.4

出所:The WORLD BANK Global Economic Prospects

海外資産を保有することにより、日本よりも経済成長率が高い市場の成長を取り込むことができます。

資産分散化

卵は一つのカゴに盛るな、と投資をしていると聞いたり記事で目にすることがあるかと思います。将来的に巨大地震が起きて日本だけが大きく影響を受ける事態に陥った時、資産を海外にも分散投資している場合、影響を限定することができます。

株式相場の世界では、先人が、その経験を基にして、さまざまな格言を残している。卵は一つのカゴに盛るなも、そのうちの一つです。

卵を一つのカゴに盛ると、そのカゴを落とした場合には、全部の卵が割れてしまうかもしれないが、複数のカゴに分けて卵を盛っておけば、そのうちの一つのカゴを落としカゴの卵が割れて駄目になったとしても、他のカゴの卵は影響を受けずにすむということ。

特定の商品だけに投資をするのではなく、複数の商品に投資を行い、リスクを分散させた方がよいという教え(=銘柄分散投資)。

出所:野村証券 証券用語集

戦争や災害時の海外拠点確保

戦争や災害が起きた場合、国が国民の生活を全て守ってくれるわけではありません。非常事態時には、自分自身で家族を守っていく必要がありますので、日本から脱出してしまうのも一つの方法としてあり得ます。

実際に2011年の東日本大震災が起きた際、東京から海外や沖縄に避難する上司や友人が複数おりました。日本でしか生活ができないというよりも、海外にも拠点を確保し、非常事態時において取りうる選択肢を増やしておくこと自体は非常に大切なことです。

移住準備

教育目的や趣味を満喫するために、日本から海外に移住する方も増えております。日本で移住の準備をしつつタイミングを見て移住することになりますので、準備として海外資産を保有することも重要です。

株式に絞って話をすると、日本の証券会社では非居住者になると原則として口座を閉鎖する必要が出てきます。移住した後には使えなくなってしまいますので、海外移住する予定なら、最初から海外の証券会社の口座で資産運用した方が効率的です。

資産保全

日本でも戦後に預金封鎖が行われるとともに、資産税が課されました。日本で将来的に同様のことが起きる可能性は高くない想定をしておりますが、日本の一人当たりの債務額が大きく、自分の資産は自分でも守るための対策はある程度しておくことは有効かと思います。

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海外資産を保有する際のリスク

海外資産を保有するのはメリットばかりではなく、リスクもあります。リスクは恐れるより対策を講じることにより許容できるレベルに下げることが大切となります

為替リスク

海外資産は円建ての場合もありますが、通常は現地通貨となります。為替は常に変動する点は注意が必要です。為替変動を受け入れることができない方は海外投資は避けた方がいいです。円安の時に海外資産を購入し、円高になった時に多少値上がりがあったため売却して日本円に両替すると損失を計上することもあります。

為替リスクを低減するためにデリバティブでリスクヘッジする方法もありますが、円を基準に考えず、現地通貨を基準に考えるなど割り切りも大切です。

税務リスク

海外資産を保有する場合、現地での税務手続きが必要となるケースもあり、さらに日本でも税務申告する必要が出てきます。

外国税額控除などは個人で対応するにはハードルが高く、専門家に依頼するケースが多くコストがかさむ点は注意が必要です。

海外相続リスク

海外資産の相続については、国や地域によって法律も異なりますので、日本以上に苦労することが多いです。日本での相続と海外の相続手続きを並行して進めることになります。生前での対策をしていない場合、残された家族が対応できず相続を断念したり、海外の専門家の高額請求に頭を悩ますこと人なります。

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地政学リスク

地域によっては勢力争いに巻き込まれ資産自体を失う可能性もあります。

また、日本にいるとリスクと感じることがありませんが、政府の方針により外国人の排除が行われることがあり注意が必要です。

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