海外赴任が決まり、出国の準備を進める上で煩雑なのが、国内での納税や金融機関の手続き関係。子供が学校に通っていると、単身で行くか、家族で行くか決めなくてはいけなかったりしますので、悩みが多いです。
私も海外生活をした際に日本の非居住者であった時期があり、手続きや意思決定の難しさを感じております。今回、海外赴任や海外生活をすることになった場合の、国内の納税管理について記事にしております。
弊社では、海外赴任や海外生活を行なっている方のサポートも行っておりますので、興味がある方はリンク先もご覧ください。
海外赴任や海外生活を行う場合の税務上の取り扱い
日本国内の会社に勤めている給与所得者が、1年以上の予定で海外の支店などに転勤すると、一般的には日本国内に住所を有しない者と推定され、所得税法上の非居住者となります。
非居住者となった場合、日本で生じた所得に対して税金がかからないというわけではなく、日本国内で生じた所得に対しては納税する必要があります。
しかし、海外赴任や海外生活を行なっており日本にいない非居住者の場合、税務署や市区町村との連絡や納税関係資料の受領が難しくなってしまいます。
そのため、海外赴任や海外生活を行う非居住者の場合、確定申告書の提出、税務署等からの書類の受け取り、税金の納付や還付金の受け取り等、納税義務を果たすために納税管理人を定める必要があります
納税管理人とは
納税管理人とは、納税に関する一切の事項を処理するための代理人です。 そのため、賦課徴収(滞納処分を除く。) 又は還付に関する書類は、納税管理人に送付されます。
海外赴任時においては、国内の納税手続きが残ってしまう事が多いため、納税管理人を選任しておく事をお勧めします。
納税管理人が必要となるケース
納税管理人が必要となる代表的なケースは、
住民税や固定資産税等の納税が必要な方
不動産賃貸や太陽光発電等で所得がある方(確定申告が必要な方)、となります。
非居住者の所得のうち、日本国内で発生した一定の所得(不動産等)については、引き続き日本の所得税が課税されますので、確定申告をしなければならない場合があります。
一般に給与所得者は、次の所得が一定額以上ある場合、確定申告書を提出する必要があります。
- 国内にある資産の運用又は保有により生じる所得(源泉徴収されない取引)
- 国内にある資産の譲渡により生じる所得
- 国内にある不動産等の貸付けにより受け取る対価(不動産所得)
- 国内における一時所得に該当する所得
納税管理人になれる方
納税管理人は法人でも個人でも構いません。
ただし、税理士又は税理法人でない方が、税理士業務(税務代理、税務書類の作成、税務相談)を行うこと税理士法違反となってしまいます。
そのため、税務相談や確定申告につながりやすい納税管理人は、税理士に依頼してしまう方が安心となります。
納税管理人の手続き
納税管理人の選任及び解任それぞれについて手続きが必要となります。
税金 | 提出先 | 提出書類 |
国税 | 非居住者の納税地を所轄する税務署長 | 所得税・消費税の納税管理人の届出書 |
住民税 | 1月1日の住所地の市区町村 | 納税管理人申告書 |
固定資産税 | 不動産がある市区町村 | 納税管理人申告書 |
参考サイト
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1923.htm
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