【エストニア】会計と税務と租税条約

IT技術の発展とともに、場所に囚われることなく働くためのハードルが年々下がってきております。

2020年3月以降はコロナウィルスの感染拡大に伴うテレワークの浸透や、観光地でリモートで仕事をするワーケーションの増加により、これまで出社を前提としていた働き方に変化が出てきました。

日本においてはまだ紙やハンコが必要となるなど、完全にリモートでデジタルだけで対応することが難しいのですが、東欧のバルト三国の一つ、エストニアでは行政手続きのデジタル化が進み、エストニア国内だけでなく、海外からも法人運営が簡単にできるようになっております。

目次

エストニアとは

エストニアと聞いてピンとくる方は10年くらい前は多くなかったかと思いますが、近年は行政手続きのデジタル化が進んでいる国として日本でも認識されるようになってきたかと思います。

エストニアは政府主導で国家のIT化が進められており「IT先進国」や「電子政府」などと言われるほど世界でも有数の「行政手続きのデジタル化」が進んだ国となっております。

e-Residency

デジタル化はエストニア国民だけでなく、世界中の起業家の方がその恩恵を受けることができるe-Residencyというバーチャルな居住権を取得することができます。場所に囚われずに国境を越えてビジネスを展開することを目的にe-Residencyを取得する方が増えております。

e-Residencyの登録を行うと、エストニアでの法人設立を簡単に行うことができますので、ビジネス拠点をエストニアにおきつつ、世界で場所に囚われずビジネスを展開することができます。

八ツ役公認会計士事務所も、場所に囚われないビジネス展開を目標にしており、マインドが近いe-Residencyを取得しております。

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エストニアの会計

エストニアはエストニア独自の会計基準ではなく、IFRS(国際財務報告基準)を採用しております。

日本でも近年、IFRSを採用する企業が増えてきましたが、日本の会計基準のように網羅的に会計基準を作成するのではなく、原則的な考え方を基準で示し、その原則から演繹して会計処理を行うことになります。

エストニアの税制

現地に住んでいる方向けに網羅的に記載することを目的としておらず、日本でリモートでエストニア経由でビジネスを行うことを前提に記載しております。

法人税

法人に課される法人税については、20%。しかも、毎年の利益に対してではなく、配当に対してのみ課税されます

日本では毎年の利益をベースに課税されますが、エストニアは配当に対して課税されます。

Income Tax

エストニアの法人で従業員を採用している場合、従業員のIncome Taxとして、従業員の総所得の20%を源泉徴収することになります。

また、失業保険料として1.6%、さらに年金掛金として2%かかります。

Social Tax

エストニアの法人で従業員を採用している場合、法人が負担する従業員のSocial Taxは、従業員の総所得をベースに33%かかります。

また、失業保険料としてさらに0.8%かかります。

VAT(Value added tax/sales tax)

エストニアのVATは20%ですが、書籍など一部の商品は9%となります

VATに馴染みのない方は日本の消費税をイメージしていただければと思います。エストニアでは全て税込価格で表示されているため、会計を行う際に金額に税金の高さに驚くことはありません。

日本とエストニアの租税条約

日本とエストニアにおいては二重課税を防ぐため、投資先の国(源泉地国)が課税できる所得の範囲・限度税率等を租税条約により確定させております。

対象限度税率等免税(課税されない)対象
配当免税配当を支払う法人の議決権 10%以上を、6か月以上保有している法人への配当
10%上記以外
利子免税政府、地方公共団体、中央銀行、または政府金融機関から生じる利子
10%上記以外
使用料5%産業上、商業上もしくは学術上の経験に関する情報の対価

出所:財務省HP

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