海外で生活し始めても日本での資金移動を行う機会は一定数あるため、日本での銀行口座を維持したい方は多いと思います。日本の銀行は出国前の手続きが非常に重要ですので、出国後も維持できる銀行口座と使えなくなる銀行口座を把握して、銀行口座の整理を行うことをお勧めしております。
この記事では、海外赴任や移住により日本の非居住者になった場合の銀行各社の対応状況等について記載しており、海外赴任や移住の準備に役立てて頂きたいと思います。
また、海外生活については、以下で全体に関する内容を記載しております。
銀行各社の対応(2023年5月1日時点)
サマリー(住宅ローンなどの借入がない場合)
各社の対応方針だけを知りたい場合、以下の表だけで確認できます。
ローン契約がある場合に、原則解約となっている銀行においても、口座を残すことができる場合が多いです。
銀行 | 口座 | 備考 |
---|---|---|
○ | 非居住者の届けを行う事により利用可能。 | |
○ | グローバルダイレクトを利用すると非居住者になった後もサービスを受けれます。ただ、毎月300円の手数料がかかります。 | |
○ | 海外勤務者向け日本国内送金サービスの利用が可能。 | |
○ | 非居住者向けにSMBCダイレクト・グローバルサービスを展開しており、月額220円(消費税込)で利用可能。 | |
△ | 原則解約。 | |
○ | 海外赴任などにより非居住者となられた場合も利用可能。非居住者になった後は、新な振込先は郵送や窓口で事前に登録する必要があります。 | |
○ | 非居住者の届けを行う事により利用可能。 | |
× | 解約 | |
× | 解約 | |
× | 解約 | |
× | 解約 | |
△ | お問い合わせ窓口まで連絡。解約とまでは記載されていない。 | |
× | 解約 |
ゆうちょ銀行
- 海外に長期赴任予定ですが、ゆうちょ銀行の口座はそのまま保有してもよいですか。
-
当行におきましては、海外への各種お知らせ方法等がないため、可能な限り、現在お持ちの口座は解約していただくようお願いしております。ただし、赴任後も給与の振込み等で利用される目的があれば、非居住者の届けのお手続きを行っていただいたうえで保有することは可能です。その場合、払戻し、預け入れ、残高照会のお手続きは第三者に委任していただいたうえで、ご利用いただけます。なお、継続的に第三者に委任してお手続き等をしていただく場合は、利用代理人を設定いただくこともできますので、窓口にてお手続きしてください。
https://faq.jp-bank.japanpost.jp/faq/show/819?category_id=59&site_domain=default
三菱UFJ銀行
<海外住所へ変更時の注意事項>
・海外住所に変更された場合、三菱UFJダイレクトの一部の取引(投資信託等)が利用できなくなります。
・海外住所に変更されますと非居住者となり、地方税を徴収しない取り扱いとなります。また、三菱UFJ銀行以外の日本国内の預金口座へお振り込みされる場合、送金先の銀行がお受取人さまの口座へ入金する際に、日本国外の居住者からの送金であるとしてお受取人さまより円為替取扱手数料をいただく場合があります。
・海外住所への変更はインターネットバンキングまたはお取引店でお手続きください。ご契約状況によっては、インターネットバンキングで住所変更のお手続きができない場合がございます。その際には、お取引店にご相談ください。
・外国送金等の一部取引では、取引完了後に当行から通知物を発送することがありますが、海外への発送はできません。郵便物が不着になると、一部取引ではお取引ができなくなるため、日本国内の住所(連絡先住所)をお届けいただくことを推奨します。連絡先住所の新たなお届けは、お取引店でお手続きください。
https://direct.bk.mufg.jp/info_news/20160603_otp/index.html
三菱UFJ銀行はグローバルダイレクトを利用すると以下のサービスを引き続き利用できます。
残高照会 | 外国送金 |
明細照会 | 定期預金 |
振込 | 外貨預金 |
住宅ローンの一部繰上返済 | 等 |
毎月300円の手数料がかかります。
海外在住の場合、投資信託の取引・住宅ローンの申込等、利用できないサービスがあります。
出国前にグローバルダイレクトの利用申請を行う必要があり、出国後に利用申請をすることができません。
みずほ銀行
大切なお知らせ
みずほダイレクトやATMでの振込・振替は日本国内にお住まいのお客さまを対象とするサービスです。日本国外にお住まいのお客さまの、みずほダイレクトやATMでの振込・振替などの各種銀行手続きは外国送金に該当します。そのため、金融機関は外国為替および外国貿易法(外為法)の定めに準じ、送金目的等の確認を行う必要があります。
本サービスのご利用にあたっては、みずほ銀行に海外勤務者であることのお申し出が必要です。
海外にて日本国内の口座から他の日本国内の口座への送金を希望の場合は、都度「海外勤務者向け日本国内送金サービス」の利用をお願いします。
日本国内に帰国後は、住所が決まり次第、取引店に連絡のうえ所定の手続きを行うことで、みずほダイレクトでの振込・振替、みずほ銀行キャッシュカードでの振込等が利用できるようになります。
https://www.mizuhobank.co.jp/retail/products/direct/about/service/kaigaikinmusha/index.html
日本国外に住んでいる預金者の日本国内での送金は海外送金に該当するということで、通常の海外送金みたいに数千円の手数料がかかるのかと心配しました。
通常の国内送金とあまり変わらないようで、以下の通りです。
送金手数料は以下の通り(消費税非課税)
振込金額 | 3万円未満 | 3万円以上 |
みずほ銀行宛 | 同一店 | 無料 |
本支店 | 同一店 | 無料 |
他行宛 | 137円 | 291円 |
三井住友銀行
SMBCダイレクト・グローバルサービスを展開しており、SMBCダイレクトをご利用のお客さまで、海外勤務や海外留学により海外にお住まいとなるお客さまおよび同伴されるご家族の方が利用できるサービスとなっています。
提供サービスは、残高照会、振替、国内振込、外国送金、セキュリティ関連登録、お取引明細の送付。
月額220円(消費税込)かかります。申込月と翌月分の利用料が無料。
送金手数料は以下の通り(消費税非課税)
振込手数料 | |||
3万円未満 | 3万円以上 | ||
三井住友銀行宛 | 同一店 | 100円 | |
本支店 | 200円 | ||
他行宛 | SMBC信託銀行(プレスティア)あて | 200円 | |
その他 | 250円 | 400円 |
新生銀行
- 海外へ引っ越し(転出)することになった場合の手続き方法を教えてください。
-
新生総合口座パワーフレックスは、ご利用いただく方を日本国内に居住される個人のお客さまに限らせていただいており、海外に転出される(住民票の除票手続きを行う)場合は、原則として口座解約のお手続きをお願いしております。
口座解約については、口座解約の手続き方法を教えてください。をご覧ください。※満期日が到来していない金融商品をお持ちの場合等、例外的に引き続きパワーフレックス口座をお持ちいただく場合は、お口座のご利用に一部制限をかけさせていただきます。
制限について詳細はこちらをご確認ください。なお、短期滞在等で住民票を除票されない(住民票を日本に残される)場合には、口座解約の必要はありません。
国内の住民票住所を変更される場合には、通常の住所変更手続きをお願いします。
住所変更手続き詳細は住所変更手続き・電話番号変更手続きをご覧ください。海外へ引っ越し(転出)することになった場合の手続き方法を教えてください。
新生銀行は以前は外貨や海外向けサービスに力を入れている印象がありましたが、原則は口座解約となります。ただ、※での記載の通り、満期日が到来していない金融商品がある場合などは口座を維持することができます。
また、短期滞在の場合にはそもそも非居住者に該当しないため、口座解約は必要ないです。
海外へ引っ越し(転出)することになった場合の手続き方法を教えてください。
新生銀行は以前は外貨や海外向けサービスに力を入れている印象がありましたが、原則は口座解約となります。ただ、※での記載の通り、満期日が到来していない金融商品がある場合などは口座を維持することができます。
また、短期滞在の場合にはそもそも非居住者に該当しないため、口座解約は必要ないです。
プレスティア SMBC信託銀行
ユーザー登録したその日からご利用いただけます。
海外赴任中も、残高照会、取引照会、各種お取引など、便利にご利用いただけます。事前に送金登録をしておけば、海外や国内への送金もスムーズです。
プレスティア 海外赴任ガイドついて
非居住者になった後も銀行口座を維持することができます。ただし、非居住者になった後は、新しい振込先は郵送や窓口で事前に登録する必要があります。
また、国内の銀行で外国払い小切手の取り扱いがあるのは、プレスティアのみとなります。
ソニー銀行
すでにソニー銀行に口座を開設済みで、日本国籍をお持ちのかたは、海外への転勤・留学などにより税法上の非居住者(*)となられた後も、引き続きソニー銀行口座をご利用になれます。
ただし一部のお取り引きに制限があるほか、海外へ転居される際は、日本国内のご連絡先となるかたをご登録いただくなど、所定のお手続きが必要です。
海外転勤・留学などをご予定の皆さまへ
非居住者になった後でも口座は維持できます。
例えば、ハワイやグアムへの引っ越しを行う場合、日本国内で生じた所得をソニー銀行に日本円で振り込んでもらい、ソニー銀行で日本円をドルに両替して外貨普通預金として保有。現地での買い物の際に、Sony Bank WALLETというデビットカードで、外貨普通預金で保有しているドルで支払うことができます。
住信SBIネット銀行
- 〔口座情報〕 海外に転勤することになったのですが、変更手続きはどうすればよいですか?
-
当社の口座をご利用いただけるのは日本国内に居住しているお客さまです。 口座開設後、海外に1年以上長期滞在し非居住者となる場合は、口座解約手続きをお願いいたします。
口座解約手続きについて詳しくは新しいウィンドウで開きます。こちらをご覧ください。 なお、外貨預金や仕組預金、ローン契約がある場合等で口座利用の継続を希望される場合は、 状況をカスタマーセンターまでご連絡ください。
楽天銀行
- 海外に住んでいても口座開設できますか?
-
日本国内にお住まいの方のみとさせていただいております。
- 日本人ではないのですが、口座を作ることはできますか?
-
外国為替及び外国貿易法上の「居住者」(※)であれば、外国人の方も口座を開設することができます。
ただし、ホームページや口座開設の手続きでお送りする書類は全て日本語です。
また、外国為替及び外国貿易法上の「居住者」から「非居住者」になる際には口座をご解約いただきます。※外国籍の方における外国為替及び外国貿易法上の居住性について
・本邦内(日本国内)にある事務所に勤務されている方、もしくは本邦(日本)に入国後6ヶ月以上経過されている方は、「居住者」となります。
・上記以外の方は、「非居住者」となります。
上記のよくあるご質問を読むと、非居住者になった場合は口座解約となるようです。
PayPay銀行
- PayPay銀行の普通預金口座では、海外からのインターネットバンキングの利用ができますか。
-
海外でのインターネットバンキングのご利用につきましては、動作保証の対象外です。
お客さまの責任においてご利用ください。ご注意
当社では、現住所が日本国内でない場合(日本人の方であっても)、普通預金口座をお持ちいただくことができません。
現在当社口座をご利用のお客さまが、海外に移住される場合や、転勤などで海外に長期滞在をされる場合にも、口座をご利用いただくことができませんのでご注意ください。
PayPay銀行は非居住者になると口座を維持することができず、解約する必要があります。
イオン銀行
- 【インターネットバンキング】インターネットバンキングは海外からも利用できますか?
-
イオン銀行のインターネットバンキングは日本国内向けのサービスとなりますので、推奨する利用環境も、日本国内において日本語の正式版でのみ動作確認しています。
なお、イオン銀行でお取引いただけるお客さまは日本に居住する個人のお客さまのみとなりますため、お客さまが非居住者となられる場合は、すべてのお取引の解約が必要です。
イオン銀行は非居住者向けのサービスを行っている印象はなく、非居住者となるとすべての取引の解約が必要となります。
大和ネクスト銀行
- 海外でも取引サイトを利用できますか
-
海外での利用については動作保証を行っておらず、また十分なサポートができない場合がございますので、ご利用はお奨めしておりません。お客さまの責任においてご利用ください。
なお、日本国内に居住されていない方は、原則として大和ネクスト銀行のサービスをご利用いただけません。
大和ネクスト銀行にお口座をお持ちのお客さまで、海外に転居される場合には、お手数ですが、お問い合わせ窓口までご連絡ください。
非居住者になる際に、解約とまで書いておりませんが、原則利用できないと考えた方がいいでしょう。以下、大和ネクスト銀行の取引約款の抜粋ですが、居住者限定にも読めます。
銀行取引約款
第1条 お取引いただける方
当社と取引ができるお客さまは以下の要件をすべて満たす方のうち、当社が認めた方に限ります。
(1)満20歳以上の個人であること
(2)日本国内に居住する方であること
(3)当社が提供するウェブサイトにおけるサービスの利用が可能な環境にあること
(4)第16条第3項第16号および第17号のいずれにも該当しないこと
セブン銀行
- 海外転居することになりましたが、住所変更等の各種手続きはどうすればよいですか。
-
当社の預金口座は、日本国内に居住する個人のお客さまを対象にご利用いただいておりますので、国外に居住される場合は口座の解約手続きが必要となります。
https://faqsearch.sevenbank.co.jp/faq_detail.html?id=812916&category=
銀行各社の対応方針を受けて
三菱UFJ銀行や三井住友銀行は、海外赴任や長期滞在等により非居住者になった場合も、残高照会、振込、振替、海外送金に対応しており、一つは維持しておきたいです(手数料が許容できるなら両方残して、一方の銀行がサービスを停止した際に備えてもいいと思います)。
みずほ銀行については、非居住者向けサービスは、あまり力を入れていない印象はあります。
ゆうちょ銀行も、個人的には維持したいところです。
あとは、プレスティアを使うかどうか悩ましいです。国内送金については事前登録していた口座については対応していますが、都度送金については対象外。また、一定額以上の残高を維持しないと口座維持手数料が生じます。ただ、外国払小切手を使う予定がある方ですと、対応しているのはプレスティア一択となります。
ネット銀行系だと、ソニー銀行を使うことができ、Sony Bank WALLETというデビットカードも活用することができるので、有力候補ともなります。
最後に、海外赴任や海外生活の支援のためのサービスも行なっておりますので、お困りの事がございましたら、お気軽にご連絡頂ければ幸いです。