海外生活時(非居住者)の日本の証券口座の取り扱い

海外赴任や海外で生活することになり日本の非居住者になった場合、数年前まで維持できる証券会社の口座はほとんど無かったと思います。

証券会社のサービスも向上し、日本の非居住者も口座を維持できるようになってきており、当該記事では、証券会社各社の対応状況等について記載しております。

海外生活については、以下で全体に関する内容を記載しております。

あわせて読みたい
終身旅行者とは IT技術の進歩により海外にいながら日本の仕事ができたり、LCC(格安航空会社)の登場により渡航コストが大幅に下がり、多くの方が日本だけでなく海外拠点をもって生活で...
目次

証券会社各社の対応(2023年5月1日時点)

サマリー

各証券会社の非居住者への対応方針について、以下の表にまとめております。
証券会社については、海外移住を検討している方が利用していることが多いネット証券と、大手証券会社3社を対象にしております。
一般口座で日本株式を保有することは可能となりますが、海外滞在期間が半年を超えると維持できないなどの制約がある証券会社もあります。

証券会社特定口座一般口座NISA口座*
×
×
×
×
×
×
×
×
×

* 非居住者のNISA口座取り扱いについて、少し複雑で税制改正の影響もありますので別記事でご確認ください。

あわせて読みたい
海外生活時(非居住者)のNISA、つみたてNISA及びジュニアNISAの取り扱い 海外赴任や海外で生活するために日本の非居住者になった場合の、NISA、つみたてNISA及びジュニアNISAの取り扱いについて解説いたします。 海外生活については、以下で全...

SBI証券

出国を予定されるお客さまは、「当社カスタマーサービスセンター」または「お客さまのお取扱い店」までご連絡をお願いいたします。「口座番号」、「氏名」、「出国予定日」、「出国されるまでの当社お手続き」等についてご確認させていただきます。
また、当社および信託銀行等からの連絡先、株主総会における議決権の代理行使等のため常任代理人の選任が必要となります。
※常任代理人を選任される場合は、常任代理人業務を行っている弁護士等へご依頼いただくか、株式等の証券知識や税務知識等を有する方への選任をお奨めいたします。

なお、出国後に「(本邦)非居住者」に該当することが判明した場合、当社にて速やかにお取引の制限、特定口座やNISA口座(ジュニアNISA口座)の廃止などの手続きをさせていただきますのでご了承ください。

「(本邦)非居住者」に該当する場合、特定口座やNISA口座(ジュニアNISA口座)で上場株式等の管理を行うことはできません。

出国後にNISA口座で支払われた配当金等がある場合には、遡及して課税されることとなります
常任代理人(弁護士)・税務相談窓口 紹介サービスはこちら

SBI証券ホームページ

マネックス証券

日本国内に居住されていない方については、口座開設をしていただけません。

また、口座開設後、海外赴任等で日本国内に居住されなくなる場合には、口座の閉鎖、またはお取引の制限をさせていただく必要がございます。

日本国内に居住されなくなるような場合は、一定のお手続きも必要になりますので、事前に当社お客様ダイヤルまでご連絡いただきますようお願い申し上げます。

マネックス証券ホームページ

楽天証券

当社に証券総合口座をお持ちのお客様が、海外勤務や留学等の理由で海外に居住することとなり、日本国内「非居住者」となる場合は、出国手続き、または口座解約手続きが必要です。

出国手続きをされた場合でも、海外に出国されている間は有価証券等をお預かりするのみとなり、売買等(積立を含む)のお取引を行うことはできません。

なお、帰国後は当社カスタマーサービスセンターまでご連絡をお願いします。お取引再開の手続き等についてご案内させていただきます。
国内株式、個人向け国債以外の保有残高をお持ちの場合は、出国前までにお客様ご自身で売却・決済していただくようにお願いいたします。

また、出国後に非居住者に該当することが判明した場合、当社にて速やかにお取引の制限をかけNISA口座(ジュニアNISA)や特定口座を廃止のうえ、口座解約手続きをさせていただきますのでご了承ください。

楽天証券ホームページ

楽天証券は2019年1月14日時点では非居住者が証券口座を保持することができなかったため、非居住者へのサービスを始めたようです。
楽天証券を利用している方も多いかと思いますが、出国前に必ず楽天証券で手続きを行った方がいいです。

松井証券

海外転勤等の理由で、非居住者と定義される場合、所定の手続きが必要です。
手続きについてご案内しますので、必ず出国前に松井証券顧客サポートまでご連絡ください。

非居住者の定義
・海外に1年以上暮らしている、または、暮らす予定がある
・期間の定めのない海外転勤、海外留学

<特定口座について>
非居住者となる場合、特定口座は継続利用できません。

特定口座で保有する株式は一般口座へ振替え、速やかに閉鎖していただく必要があります。
出国後に非居住者となったことが判明した場合には、当社で特定口座の閉鎖手続きを行います。

<配当金について>
「株式数比例配分方式」を選択していた場合、一般口座でお預かりの株式の配当金は、海外居住中でも、従来どおり所得税・住民税を当社で源泉徴収します。

源泉徴収および更正等のお手続きについてご不明な点がありましたら、松井証券顧客サポートまでお問い合わせください。
海外居住中に源泉徴収された住民税の取り扱い全般については、必要に応じて最寄りの税務署等にもご確認ください。

<NISA口座について>
NISA口座の出国後の取扱いについては、松井証券顧客サポートまでお問い合わせください。

<信用取引の建玉について>
信用取引の建玉を保有したまま非居住者となった場合、当社がその事実を知った日から起算して5営業日目を信用期日とします。
信用期日までに返済されない場合、6営業日目以降に当社の任意により、お客様の口座のすべての信用建玉を反対売買で決済します。これにより不足金の発生が予想される場合、不足金に充当する代用有価証券を売却します。
帰国された場合は、松井証券顧客サポートへご連絡ください。取引の制限を解除します。

松井証券HP

GMOクリック証券

海外の滞在期間が6か月以上の場合は、恐れ入りますが、口座解約の手続きをお願いしております。

海外でのお取引につきまして、インターネットが接続可能な環境であれば、海外からのアクセスは可能でございますが、当社提供のサービスは、日本国内に居住のお客様を対象とさせていただいておりますので、不具合が発生する恐れがございます。
※海外金融機関から入金はできませんので、ご了承ください。

口座解約の手続き方法につきましては、コールセンターにお問い合わせいただくか、PC会員ページ【マイページ】‐【お問い合わせ】より、口座解約ご希望の旨をご連絡ください。
スマホアプリからは、【ホーム】-【ヘルプ】-「お問い合わせ」から、ご連絡ください。

なお、残高、保有株がある状態では口座解約を承る事ができません。
お手数をお掛けいたしますが、保有株の売却や、建玉の決済後に出金のお手続きをいただき、口座残高のない状態にした後に、口座解約届をご請求くださいますようお願いいたします。

GMOクリック証券ホームページ

GMOクリック証券は2021年4月24日時点では”海外の滞在期間が1年以上の場合”でしたので、海外の滞在期間が1年から6か月に短くなっています。これは短期滞在者免税を適用できなくなる183日超えを意識しているように感じます。

auカブコム証券

海外にお住まいになる場合には非居住者と定義されるため、原則、口座を解約いただいております。
口座解約は書面の手続きとなりますので、残高をすべて払い出しの上、当社サポートセンタ-へお電話にてご連絡ください。
【関連】:お客様サポートセンターの番号を教えてください。

(お預り資産に関するお手続きが出国までに完了しない場合にも、口座解約依頼書のほか居住地変更に関する届出書を含む必要書類のご提出が必要です。本手続きをもって口座を解約いたします。)

なお、当社で定めた一定の条件を満たす場合には、当社所定のお手続きを行っていただくことで、帰国されるまで口座を凍結したうえで国内株式(現物)のお預りをすることが可能です(口座は継続できますが、お取引、ご出金はできなくなります)。

手続方法や必要書類、口座継続いただく場合の制約事項等につきまして、予めこちらのページをご確認ください。→「出国・帰国のお手続きについて」

◆出国前の手続きについて◆
※国内株式(現物)以外の商品を保有されている場合は、出国日の1週間前までに売却、返済を行ってください。また、各種積立プランの設定や貸株契約がある場合は、積立プランの中止および貸株の返却もお願いいたします。
※「居住地変更に関する届出書」を含む必要書類を出国日の1週間前までに当社必着にてご送付をお願いいたします。

◆必要書類◆
・居住地変更に関する届出書 (必須)
・特定取引を行う者の届出書 (必須)
・外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)に係る宣誓書および同意書 (必須)
・非課税口座内上場株式等の非課税口座から特定口座への移管依頼書(NISA口座に有価証券をお持ちのお客さまのみ) (任意)
・個人番号(マイナンバー)通知届出書(未提出のお客さまのみ) (任意)
※上記全ての書類はこちら から印刷いただけます。
※ジュニアNISA口座を開設済のお客さまは、「出国移管依頼書」のご提出が必要です。当社サポートセンタ-へお電話にてご請求ください。

◆ご注意事項◆
国内株式(現物)以外の商品は継続保有していただくことができません。
・非居住者となる場合、一般NISA・つみたてNISA口座は閉鎖が必要となります。当社は、一時的に出国する場合のNISA口座継続保有には対応していないため、帰国後もNISA口座にお戻しすることはできません。
・非居住者となる場合、出国期間中はお取引いただくことはできません。(TOB含む)
・出国に際し、特定口座およびNISA口座で保有されている残高は一般口座に振替されます。
※出国日の1週間前までに当社必着にて、再移管希望欄に☑を行った居住地変更に関する届出書(NISA口座に国内株式(現物)をお持ちのお客さまは併せて非課税口座内上場株式等の非課税口座から特定口座への移管依頼書)をご提出いただくことにより帰国後、国内株式(現物)を特定口座へお戻しすることができます。
※期限内に上記、手続き書類を提出いただきませんと、制度上、帰国後に特定口座にお戻しすることができなくなります。
※帰国時にもお手続きが必要です。(一般口座のまま売却された銘柄(一部売却を含む)、帰国手続が完了する前に貸株申込された銘柄は、帰国後に特定口座にお戻しできません。)
※当社では「租税条約に関する届出書」の手続きは承っておりません。出国中受け取る配当金について、減税の措置を取ることはできかねますのでご了承ください。

◆非居住者の定義
・海外に1年以上暮らしている、または暮らす予定がある
・期間の定めのない海外転勤、海外留学(1年未満でも非居住者とみなします。)

※ 非居住者の取引を停止する理由は次のとおりです。これらの理由から、当社では非居住者のサービス利用について自主規制を行っています。
・ 当社では日本国外で証券業務を行う認可(免許)を諸外国の証券監督官庁等から得ておらず、お客様が居住される国(外国)の証券関連法制、税制とインターネット経由での取引について法律的に不明確な為。
・ 電子交付への承諾の有無にかかわらず、取引報告書、取引残高報告書が交付できない可能性があること。

※当年の米国滞在日数が31日以上かつ以下の合計が183日以上の場合は、特定米国人とみなされるため、FATCAの提出確認が必要です。
 ①当年の米国滞在日数
 ②前年の米国滞在日数の3分の1
 ③前々年の米国滞在日数の6分の1
以下サイトもご参照ください。
https://kabu.com/pdf/Gmkpdf/rule/fatca.pdf

カブドットコム証券ホームページ

野村證券

出国に伴い特定口座は廃止していただく必要があり、特定口座のお預りは一般口座へ払い出しされます。ただし、出国前および帰国時に一定のお手続きを行っていただくことで、払い出しされたお預りを再度、特定口座に組み入れることが可能です。詳細は、お取引店までお問い合わせください(お取引店の検索は、こちら)。

※出国中のお手続きにつきましては、ご本人様よりご連絡をお願いいたします。

野村證券ホームページ

野村證券は非居住者から居住者に戻った際の、一般口座から特定口座への組み入れについて言及しています。
また、海外に出国した後に手続きを行う方もいらっしゃいますが、その場合もご本人で証券会社に連絡する必要があります。

大和証券

お手続きが必要となります。取扱い窓口へお問い合わせください
転出中は、やむを得ず預り資産の売却を行う場合を除き、新規の取引等は一切できません。
また、租税条約対応、納税処理対応等につきましてはお客様ご自身での対応、確認となります。

大和証券ホームページ

SMBC日興証券

日本国内の居住者ではなくなってしまうことから、ご転居前に速やかにお取引店にご連絡いただき、お取引口座をご解約ください。

または、所定の手続きを行っていただき、当社が承認した場合は、制限の範囲内で口座を継続することができます。

詳しくは、お取引店までお問い合わせください。

SMBC日興証券ホームページ

証券会社の対応方針を受けて(日本に帰ってくる可能性が高い場合)

以前は非居住者になった場合、特定口座も一般口座も閉鎖する必要がありましたが、現在は一般口座については取引を制限した上で、維持できる証券会社が多いです。

非居住者になった際

特定口座は解約、特定口座で管理している銘柄は一般口座に移すことになります。一般口座に移した後は取引が制限され、基本的に新規取引はできないです。

永久保有を前提としているような銘柄をお持ちでしたら一般口座で保管することになると思いますが、そうでなければ売却して口座を閉鎖するのもありかと思います。

仮に非居住者に対応していない証券会社に口座をお持ちでしたら、非居住者になる前に、非居住者に対応している証券会社に口座を開設して、株式を移管する必要があります。

居住者に戻った際

一般口座で管理している銘柄について、野村證券及び楽天証券では特定口座に移して管理できる可能性が高いです。

証券会社の対応方針を受けて(日本に帰ってくる可能性が高くない又は不明な場合)

非居住者になることも想定している場合は、海外生活を前提として、日本で生活している段階から、海外の証券会社で日本人向けサービスを提供する金融機関を利用する方が効率的です。

個人的には海外口座をメインとして、日本ではNISA口座で投資できる上限までにしてもいいのではないかと思っています。非居住者になった際には、NISA口座で管理している有価証券を全て売却して、海外のメイン口座に送金すればいいだけです。

非居住者になる前(出国準備中)

日本人向けサービスを提供している海外の証券会社に口座を開設して、一部の資金を海外で運用。

非居住者になった際

日本の証券口座は全て解約し、海外の証券口座に日本の資金を移して運用。

これから海外口座を準備する場合

八ツ役公認会計士事務所では、海外証券口座での資産運用のための口座開設、送金、運用などについてのコンサルティングを行っております。

一人だと不安が多い海外証券口座での資産運用についても安心して行うことができますので必要に応じてご利用ください。

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次